2011年06月09日

iTunes Match はすごい(3)

さらに続報。

  Forbsの記事

へえ、IFPIはiCloud Matchを歓迎しているのか。

  PC Proの記事

こちらは、amnestyというよりもcollectionという
感じのまとめ方。

ところで、これまでの情報を前提に考えると、今回
のスキーム、非常によく考えられていると思う。

一見すると、動画投稿共有サイトが、投稿される動
画について、音楽の著作権者と包括ライセンスを
受けているのと同じと思われるかもしれないが、か
なり違うような気が・・・。

確かに、Appleはライセンスを得ているし、ライセン
ス料を権利者に支払うのだけれど、それはロッカー
サービス(ストレージサービス)とは関係のない部
分の話のような気がする。deduplication技術を採用
することで、ユーザの保有している音楽のうち、
iTunesのレパートリーとmatchする曲は、ロッカー
には保管されず、iTunesから利用できるようにな
るだけ。

つまり、ユーザが既に持っている曲については、
iTunes Matchに加入していただければ、iTunes
での利用権を与えましょう、というのが法的に見
た今回のスキームとなる。

したがって、Appleが権利者に支払うライセンス料
は、あくまでも、iTunes Matchによってユーザが
新たに入手した利用権に関するライセンス料に他な
らない。

ということは、ロッカーサービスの利用について
ライセンス料を支払っているわけではないというこ
とになる。

これは結構重要なことで、将来ロッカーサービスに
ついて問題が生じたとき、すなわち、(音楽はまず
問題は生じないだろうから、それ以外の著作物で)
ユーザーがロッカーに保管しているのは自分の著作
権を侵害し、Appleはそれについて二次的侵害責任を
負う的なクレームが著作権者からあった場合、ロッ
カーサービスはフェアユースだと抗弁しても矛盾し
ないはず。
同じことは音楽の権利者にもいえて、今回のスキー
ムでロッカーサービスではなくて、iTunesに関する
ものだとすると、ロッカーサービスについて、将来
誰にどのような主張をするのも自由なまま。

Appleが本当のところどんな契約をしているのか分か
らないので、間違っているかもしれないが、今明らか
な情報から合理的に推測すると、上記のようになるの
が自然と思う。

実によく練られたスキーム。

iTunes Matchはすばらしい。
| 日記